アエラが親と先生682人を対象にインターネットを通じて行ったアンケートによると、「先生として、学校が不自由だと感じますか」との問いに96%が「感じる」という旨の回答を寄せた。取材をしてみると、先生たちの不自由の背景には多忙があることが見えてきた。
【グラフを見る】「親の過干渉」を、先生、親はそれぞれどう感じているのか?
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「世界一忙しい」といわれる日本の先生たち。文部科学省の調査によれば、小学校の約3割、中学校の約6割の先生が過労死ラインを超え、週60時間以上勤務している。学校マネジメントコンサルタントの妹尾昌俊さんは言う。
「家での持ち帰り仕事も含めると、小学校の約6割、中学校の約7割の教員が過労死ラインを超えて働いています。ブラックと言われる飲食店業界でも約3割。他業種に比べて突出して割合が高いです」
忙しさの最たるものは、「部活動」だ。
「“部活未亡人”ってこういうことかと初めてわかりました」
そう語るのは現在、育休中の30代の女性教員だ。同業の夫は運動部の顧問で平日の帰宅は通常22時ごろ。大会運営に携わっているため土日はほとんど家にいない。自分も同じような生活を送ってきたため気づかなかったが、あらためて拘束時間の長さを感じている。
部活動は、教育課程外で制度上は教員の本来の業務に位置づけられていない。だが、実質的には指導は教員に任され、休日や勤務時間外の時間も取られる。目の前の仕事に忙殺されて、不自由な学校のシステムを変えようという動きにまで至れない。
加えて、不自由さの原因としてこの女性が感じるのは親の存在だ。
「あんなに頑張っていたのに、うちの子の成績はなぜ『4』なんですか」
ある親からクレームを受けたことがある。教頭立ち会いのもとこの親と対面。テストの点や宿題、授業中の態度などを見て総合的に判断していることや、数字の根拠を説明した。だが、
「うちの子の頑張りは見てくれないんですか」
親はその一点張りだった。女性は言う。
「子どもは自分の都合のいいように学校のことを話し、それを親が真に受けクレームを入れてくる。自分の子どもしか見えていないんです」
同僚の教員は部活のキャプテン決めで、落選した子の保護者からのクレーム対応をこじらせ大変な思いをした。それ以降、キャプテンや試合に出るメンバーが決まったときには親に先に連絡をし、経緯や根拠を説明するようにしているという。(編集部・石田かおる)
※AERA 2018年12月10日号より抜粋