家賃補助や就職の斡旋などの行政の制度の後押しもあり、移住する人が増えている。2017年度のU・Iターン者数は過去最高となった。北九州市でも力を入れており、移住者たちは子育てがしやすい街だと太鼓判を押す。
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●アメリカ→小倉北区
小倉駅に近い小倉北区京町にある林田酒店を営む林田直子さん(42)。家業を経営する傍ら、北九州青年会議所の副理事や、北九州市政を学び提言をする女性グループである北九州ミズ21の会の副会長も務めている。
家業を継ぐ前はアメリカの大学院でMBAを取得し、アメリカの会計監査法人で働くキャリアウーマンだった。海外在住の時代も、小倉祇園太鼓の期間には必ず太鼓を叩きに帰国していたという生粋の小倉っ子だ。
「金曜に仕事が終わって日本に飛ぶと、土曜の21時ごろに着くんです。そうすると、そこから2時間叩けて、さらに翌日の日曜も叩ける。最高やん!」と目を輝かせる。
アメリカで働きながら米国公認会計士(USCPA)の資格を取得し、現地監査法人のシニアマネジャーを務めていた林田さんが、地元の北九州に戻ってきたのは2010年。きっかけは、父親の病気だった。
父親の容体が思わしくないとわかった時、医者としてそれぞれ市外で働いていた兄と姉が、期せずして北九州勤務となる。家族がひとつになって頑張っているなか、ひとり海外でもどかしい思いをしていた。
「私も父親や家族のために何かしたい、今やらなくていつやるんだろう、帰りたい!と思いました。でも、いざ帰るとなると、北九州に戻るより東京に住んだほうが仕事は多い。ただ、何かあるたびに北九州に帰るのは難しい。だったら、北九州に戻って、家業をやればいいじゃないかと思い至りました」
地元に帰ってきて、まずカルチャーショックを受けたのは、店の経営が昭和のやり方で止まっていたことだ。
「ホームページがない? 商品をネットで買えない? 情報を発信しようにも、フェイスブックページもない。びっくりしてひっくり返りました(笑)」