会費は鍋なら1人3千~4千円ほど。役職や年齢などで傾斜配分し、給料から天引きされる。
同社東京広報課責任者の杉内伸路さん(47)は、8年前に中途採用で入社し、コンパ文化に驚いたという。
「どんちゃん騒ぎや愚痴をこぼすのではなく、熱っぽく語り合う。部署や世代を超えて交流するので『君も同じ悩みを持っているのか』と共感し、自分も頑張ろうと思えたこともありました」
稲盛経営を研究する青山敦・立命館大学大学院教授は言う。
「従業員が命令の通りに動く、給料に比例して頑張るのならコンパは必要ないでしょう。稲盛名誉会長には、人の心の弱さへの洞察があると思います。だからこそ、役職や組織の壁を越えて一人ひとりの従業員に自分の考えを伝え、何を考えて仕事をしているかを聞き、本音で議論できるコンパを大切な機会としています。コンパを繰り返すことで心を一つにしようとしているのです」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2018年12月3日号