「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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今年の夏から秋にかけて、日本列島は大きな災害が続きました。西日本豪雨、台風21号による水害、北海道胆振東部地震などで、多くの方々が被災しました。まだ復興中の地域もあります。被害に遭われた方々には、改めて心よりお見舞い申し上げます。
災害時、コンビニはライフラインとしての役目も担います。行政と連携しながら、避難所に食料や水を提供する。安心だからとお店の駐車場に車を止めて夜を明かす方もいらっしゃいます。私たちもオーナーさん、クルーのみなさん、本部が一丸となって、被災者の方をサポートできるよう努力してきました。災害対応のノウハウを積み上げてきたつもりですが、足りない部分も見えてきました。
対応が厳しいのは、停電です。北海道胆振東部地震では北海道全域が停電する異常事態になりましたが、停電は店舗運営の大きな障害になります。停電が続いた場合、要冷蔵・冷凍商品は温度管理ができなくなるので、菓子やカップ麺など常温で陳列されているドライ商品しか販売できなくなります。非常用レジが作動する時間も数時間しかないので、その後は暗い店内で手計算しなくてはならない。センターもコンピューター制御されているので停電になると商品を出せません。電力が全ての根幹なのです。
北海道の地震では、地元のセイコーマートさんは非常用の電源キットで車のシガーソケットから電源をとって、レジを作動させていました。こうした臨機応変な対応は見習うべきですし、ローソンでも停電対策を検討しています。少量でも通電できれば、レジだけでなく、店内厨房がある全国約5千店の店舗では、自分たちでお弁当を作って提供できます。実際に西日本豪雨の際は、厨房をフル活用して温かいお弁当を提供できました。
今後の災害でも広域の停電は十分にありえます。どう電源を確保して、どう商品を調達し、提供できるか。全体の見直しを進めています。