フリーダンスは満足できる出来栄えだった一方で、リズムダンスではわずかながら乱れがあった。ツイズルで高橋が回り過ぎるアクシデントがあり、立て直してレベル4を獲得したものの、本人には心残りがあるのだろう。村元も、リズムダンスについては冒頭のコレオステップでミスがあったとコメントしており「あまり自分の中ではノーミスという感触ではなかった」と振り返っている。

 国別対抗戦の代表会見で掲示された国旗に、村元は『PERFECT!!!』、高橋は『RD(リズムダンス)FD(フリーダンス)決める!』と寄せ書きをしている。世界選手権での心残りがあるリズムダンスをミスなく滑り切れば、フリーダンス『オペラ座の怪人』にはさらに思いがこもり、もっとドラマティックなプログラムになるかもしれない。

 2007年世界選手権、フリー『オペラ座の怪人』を滑り終えて座ったキスアンドクライで、メダル獲得を知った高橋は涙をみせている。その時と同じ東京体育館で、アイスダンサーとして再び滑るフリーダンスは、高橋と『オペラ座の怪人』が織り成す長い物語の最終章となるだろう。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」

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