■3位:西舘勇陽(中央大)

 最速155キロを誇る大型右腕。下級生の頃はスピードこそありながらも安定感には欠けるという印象だったが、昨年秋は9試合に先発して5勝をマークするフル回転の活躍でベストナインにも輝いた。走者がいなくてもクイックで投げるスタイルで、時折二段モーションも混ぜるため打者はタイミングをとるのが難しい。ストレートは常に150キロを超え、手元で鋭く変化するカットボールとフォークも一級品だ。この春の開幕戦は7回途中3失点で負け投手となったものの、第3戦で再び先発し自身に勝ちはつかなかったものの、7回途中2失点としっかり試合を作りチームの勝利に大きく貢献した。

■2位:常広羽也斗(青山学院大)

 高い将来性が魅力の本格派右腕。高校時代は全国的には無名の存在だったが、大学で大きく成長し、昨年秋は防御率0.30と見事な成績を残した。大学生にしてはまだ細身だが、しなやかな腕の振りから繰り出すストレートはコンスタントに150キロ前後をマークし、数字以上にボールの勢いが感じられる。ブレーキと落差十分のフォークも空振りを奪える必殺のボールで、カーブやチェンジアップで緩急をつけるのも上手い。この春も既に2試合に先発し、13回1/3を投げて自責点1という安定した投球を見せている。大学生だがまだまだ成長する可能性は高く、ポテンシャルの高さは今年の候補の中でも指折りだ。

■1位:細野晴希(東洋大)

 東都二部所属ながら目玉候補の1人と見られている本格派サウスポー。高校時代はまとまりのあるタイプでストレートも130キロ台中盤程度だったが、大学で大きくスケールアップを果たし、昨年は最速155キロもマークした。柔らかさと強さを兼ね備えた腕の振りが最大の特長で、ストライクゾーンで勝負することができる。打者の手元で変化するスライダー、フォークも決め球として十分なボールだ。この春の初登板ではカーブを上手く使い、これまで課題と見られていた制球面でも大きな成長を見せた。ここまでスケールのあるサウスポーは貴重なだけに、今後も高い注目を集めることは間違いないだろう。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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