「買ったあと、余裕ができてからリフォームすればいいという人もいますが、それは仮住まいが必要になるなど、けっこう大変です。実際には、築15年以上のマンションを買う人の多くは取得時にリフォームされています」

 その場合、リフォームにいくらかかるのかがわからないと資金計画を立てられないので、売買契約の前にリフォーム会社に実物を見てもらい、見積もりを出してもらう必要がある。

 リフォームローンは居住用の住宅ローンに比べると金利が高く、利用できる返済期間も短いので負担が大きい。しかし、リフォーム費用も住宅ローンに含めて、住宅ローンと同じ条件で借りられるリフォーム一体型のローンを利用できれば返済がラクになる。仲介会社などで、そうしたローンを利用できるかどうかを確認しておくのがいいだろう。

 ただ、リフォームには何かとトラブルが多く、信頼できる業者を見つけるのは簡単ではない。

 その点、最近は住友不動産、三菱地所ホームといった大手住宅メーカーや大手不動産業者でもリフォームやリノベーションを手がけるところが増えている。定額でリフォームできるサービスを使えば、資金計画も立てやすい。大手の参入で品質や価格面での安心感も高まりつつあると言えそうだ。

 また、最近は事前に不動産業者などが買い取った上でリフォーム、リノベーションマンションとして販売する物件も増えている。不動産業者の経費などが上乗せされる分、若干高くはなるが、完成した実物を見られるなどの安心感がある。

 一つ気を付けたいのは消費税だ。個人から中古マンションを買うときには消費税はかからないが、リノベーションマンションのように不動産業者が所有している物件を買うと消費税がかかってしまう。3千万円の物件で建物価格が1500万円なら120万円の負担増だ。

 一方で、個人から買うと消費税がかからない代わりに住宅ローン減税が小さくなる。

 業者から買うと年間最大40万円、10年間で最大400万円のローン減税額が、個人から買った場合は最大で年間20万円、10年で200万円にとどまる。ローンが2500万円前後なら大きな差はないが、物件価格が上がるほどローン減税の額が増えるため、業者から購入する方がお得になる可能性が高い。知っておいて損はないだろう。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

AERA 2018年10月22日号より抜粋