橋本さん(前列左)、坂爪さん(後列右)、中山さん(後列中央)ともに初対面だったが、すぐに打ち解け、本音トークに花を咲かせていた(撮影/写真部・小原雄輝)
橋本さん(前列左)、坂爪さん(後列右)、中山さん(後列中央)ともに初対面だったが、すぐに打ち解け、本音トークに花を咲かせていた(撮影/写真部・小原雄輝)
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「新築は高すぎるから、やっぱり中古を買ってリフォームしたいですよね」

「出産などで働けない期間を考えると、住宅ローンは変動より固定の方がいいですか?」

 10月初旬の平日午後6時。都内の喫茶店に集まった女性たちの間で専門的な会話がポンポンと飛び交う。

 彼女たちは「ふどうさん女子」というコミュニティーの会員。不動産売買や投資に興味がある20~40代の女性たちが月に1度、勉強会や情報交換をしている。

 主催するケイアイスター不動産によると、ふどうさん女子の活動は2017年12月に始まり、会員数は約580人(18年9月末時点)。講師を招いて住宅ローンや不動産投資について学んだり、大手ディベロッパーと共同で女性がくつろげる部屋の内装を企画したりと活動内容は様々だ。

 毎回20人ほどが集まり、主に前半は知識のインプット、後半は会員同士でディスカッションなどをして交流を深めている。同社の女性社員も参加し、不動産業界内部の情報も提供しているという。

 不動産関連企業で働く橋本由美子さん(34)は、先輩からの紹介で参加し始めた。

 職業柄か、周囲には不動産を購入した女性も多い。高騰する新築物件ではなく、中古マンションを買って賢くリフォームしている人が大半だという。橋本さん自身も、築年数は古くても子育てしやすい環境の物件を選び、水回りや壁紙などをリフォームして、自分好みの家にしたいと考えている。

 ローンも自分の収入で組むつもり。男性が一家の大黒柱となって住宅ローンを組む時代ではない、と思っているからだ。

「仕事もできてバリバリ働いていた先輩がいたのですが、ある時、スパッと離婚しました。夫に頼らず、自宅も自分のローンで買っていたと聞き、早い決断ができたのも、家が確保できていたからかもしれないと思いました。家を持つことは、自立した女性として、生き方を広げてくれる一助となるかもしれないと考えています」(橋本さん)

 橋本さんは福島県出身。実家は広い敷地に立つ一戸建てだったので、家を住み替えるという発想自体がなかったが、東京で仕事をするようになって意識がガラッと変わった。

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