4月15日午前11時20分ごろ、衆院補欠選挙の応援で和歌山市の漁港に来ていた岸田文雄首相に、爆発物のようなものが投げつけられた。岸田首相は警備にあたっていたSPらと避難し、無事だった。けが人などは出ていない様子。現場にいた記者がその一部始終を報告する。
岸田首相は和歌山市の雑賀崎漁港に11時20分ごろに到着した。
候補者と漁港を視察し、魚などを試食した後に記念撮影を終えた。これから演説を始めようとしていたときだった。
岸田首相は前にきて候補者と並んだ。後方から声がして、岸田首相が一瞬、振り返って手を振ったくらいに岸田首相がいる壇上に向かって銀色の筒のようなものが飛んでいったのが見えた。
「キャー!」
「こいつやー」
現場は騒然とし、近くでは、筒を投げたと思われる男に、聴衆や警備にあたっていたSPらが飛びかかって取り押さえていた。
岸田首相のまわりはSPがガードしており、盾のようなものが広げられた。爆発物から1、2メートル程度の場所だった。
その後、岸田首相はSPに囲まれながらすぐにその場をはなれた。
記者もその方向へ走りスマートフォンで撮影していたところ、
「こいつ、こいつや」
「下敷きになっている男や」
と男性が叫んだ。
隙間から、マスク姿の若い感じの男が見えた。
撮影を続けていると、
「危ないどいて」
と刑事の声が聞こえて間もなくだった。
「ドーン」と地鳴りのような音が響きわたると、真っ白な煙と火薬のにおいが立ちこめた。
「こら!」
「危ないから近づくな」 と刑事は怒声をあげる。
投げた男は無言のままでおさえつけられていた。すると近くから、
「危ない、もうひとつ」
と声があがった。
男は爆発物とおぼしき銀色の筒を複数、持っていたようで、それが地面に落ちていたのだ。
聴衆は一斉に逃げまどい、警察関係者も男を抱え込みながらその場を離れた。その先に、岸田首相を乗せたと見られる車が猛スピードで走っていくのが見えた。