『生まれたときからせつない動物図鑑』は、動物の赤ちゃん計108の「せつない」話を、短い見出しとかわいいイラストで表現した一冊。今回は著者のブルック・バーカーさんに、同著に込めた思いを聞く。
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ページをめくるたび「へぇそうなんだ」と、思わず誰かに話したくなる見出しが躍る。
例えば<ウサギの赤ちゃんは1日に2分しかお母さんと会えない><カワウソは子どもを水に突き落とす>とか<タテゴトアザラシの親子は2週間で別れる>とか。
「動物の赤ちゃんは抱きしめたくなるくらいかわいい。だけど、せつなさも抱えていることを知ってほしい」
と、著者のブルック・バーカーさん。オランダ在住の作家でイラストレーター兼コピーライターだ。本作は、世界的ベストセラーとなった前作『せつない動物図鑑』(原題『Sad Animal Facts』)の第2弾。言葉通り、今度は動物の「赤ちゃん」のせつなさに焦点を当てた。
無類の動物好き。著者が生まれた日に、祖母が「どんな生き物とも、お友だちになれますように」というメッセージを添え動物の赤ちゃんの本をプレゼントしてくれた。その言葉と動物の本を読みあさることで、動物に関する知識を得てきたという。
「せつなさを理解することができれば、動物たちにもっと近づき彼らを理解することができます」
本書にはそんな思いを込めた。登場するのは哺乳類、有袋類、鳥類、昆虫、爬虫類などの赤ちゃん計108の話。それぞれ「せつない感じ」になった動物たちの特徴を解説する。例えばパンダは、
<まれにふたごをうんでも、2匹を世話する元気もなければ、充分なお乳も出ません/そんなわけで、早めに元気そうな子を選び、もう1匹のほうは見捨てるというシビアな選択をせざるを得ないのです>
そして、お母さんパンダが一言。
<好きなほうだけ育てますけど、何か?>
せつなさとは裏腹に、この動物たちがつぶやく一言が笑いを誘う。