漫画全巻ドットコムでは、漫画家の描いたイラストをプリントしたボックスに作品を入れ配送するなど、独自のサービスを展開している(撮影/写真部・片山菜緒子)
漫画全巻ドットコムでは、漫画家の描いたイラストをプリントしたボックスに作品を入れ配送するなど、独自のサービスを展開している(撮影/写真部・片山菜緒子)
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倉庫には膨大なタイトルがあるが、「常に全巻揃うとは限らない漫画が増えています。『のだめカンタービレ』や『もやしもん』は、重版がかからない限り、全巻は揃わないんです」(田中さん)(撮影/写真部・片山菜緒子)
倉庫には膨大なタイトルがあるが、「常に全巻揃うとは限らない漫画が増えています。『のだめカンタービレ』や『もやしもん』は、重版がかからない限り、全巻は揃わないんです」(田中さん)(撮影/写真部・片山菜緒子)

 無料で読めるタイトルが増えても、好きな漫画にはきちんとお金を払う人は多い。紙でも電子でも、漫画の健全な未来を探る動きが始まっている。

【写真】膨大な漫画がある倉庫の様子

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 読みたいと思えば、常に手が届くところにある。漫画サイトを覗けば、1巻または複数巻無料で読める漫画がずらりと並ぶ。

 都内在住の会社員女性(33)は、通勤中、こうした無料漫画をスマホで読む。だが、読んだ作品を買うことはほとんどない。

「買うほど面白い作品を見つけることは少なくて、面白いのは大体話題作。でも電子で読むとすぐ忘れちゃう(笑)。書店でポップを見て、『面白かったよね』と思い出して、アマゾンで買う。テレビやツイッターを見て、ポチることもあります」

 書店ではなくネットで買うほうが多いのは、確実に既刊を揃え、ストレスなく読みたいから。

 茨城県在住の会社員男性(31)は、TSUTAYAの漫画レンタルを週1ペースで利用する。気に入った漫画は、新刊を単行本で購入。キンドルも使うが、「やっぱり紙の本がいい」という。

「紙のほうがインタラクティブ。読み進めても気になったページにすぐ戻れるし、パラパラ読みもしやすい」

 漫画の読まれ方も買われ方も変わった。漫画全巻ドットコムやまんが王など漫画関連事業を運営するTORICOのコマース本部長、田中香織さんは言う。

「漫画を書店ではなく、日用品と一緒にインターネットモールで買う人が増えたようです」

 ネット販売は即時性が高い。テレビ番組が漫画を取り上げると、放送中に反響が表れる。

「最近では、『アメトーーク!』の『“HUNTER×HUNTER”芸人』の影響が顕著でした。放送を見込んで仕入れた『HUNTER×HUNTER』既刊35巻500セットは、3日で完売。書店なら翌日か翌週表れる反響が、ネットでは1分1秒単位で見えます」(田中さん)

 6月から発売された『スラムダンク』の新装再編版も初回入荷分を3日で売り切り、最終的に1千件の定期購読が入った。

 ポイントセール前に買い控えも起こるが、読者は変わらず漫画にお金を投下している。ただ、作品数が増え、買うまでのハードルが上がっただけだ。

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