また、岸田首相を「強気」にさせたのは、4月8日と9日に行われた自民党の世論調査で、自民党候補が優勢と出た結果も影響したのかもしれない。
たとえば千葉5区では4月1、2日の調査では、自民党の英利アルフィヤ氏が立憲民主党の矢崎堅太郎氏に6ポイントリードされていたが、8日と9日の調査では逆転し、英利氏が矢崎氏を3.3ポイントリードした。和歌山1区では、門氏が日本維新の会が擁立する林佑美氏をなんと15.1ポイントも上回っていた。
もっとも4月3日には公明党が衆参5補選に出馬する自民党候補に推薦を出したことで、党内に安堵(あんど)感が広がったことも大きく影響したに違いない。ある自民党関係者は、「これで公明党の山口那津男代表が応援に入れば、補選の衆参5選挙区は万全」と楽観的に話していた。
しかし和歌山1区の門氏は、2015年に中川郁子元農水相政務官(当時)との不適切な交際が週刊誌に報じられ、公明党の支持団体である創価学会の女性部の反発がいまだに残っていると聞く。また千葉5区では、4月15日の岸田首相の応援演説に、公明党から平木大作参院議員が参加したが、山口代表の姿はなかった。
なお千葉日報は、4月10、11日にJX通信社と行った千葉5区についての世論調査で、矢崎氏が英利氏をリードしていると報じている。さらに共同通信が14日と15日に実施した調査では、両者は互角の戦いとしつつも、矢崎氏が立憲民主党の支持層をほぼ固め、無党派層も取り込みつつあるとした。それに対し、英利氏は自民党の支持層の多くを固めきれず、無党派層への浸透も低いとされていた。
4月15日午後2時からJR本八幡駅(千葉県市川市)前で行われた矢崎陣営の街宣で、ある立憲民主党の関係者は、
「うちは女性層にウケがいい。矢崎がスーパーの前で演説すると、買い物をする主婦層が熱心に聞いている。物価の上昇が家計に打撃を与えているということだ」
と自信を持ってそう話した。