

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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いよいよ、8月も最終週です。今年の夏を振り返ると、とにかく「暑かった」のひと言。気象庁が「一つの災害」と発表するほど、全国的に記録的な暑さが続きました。
夏に売れる商品には、一定の特徴があります。一般的に気温が27度を超えるとアイスの売り上げが伸び始め、30度を超えると、かき氷など氷菓が売れると言われています。その定説通り、今年はアイスが前年比120%、氷菓は140%の売り上げの週もありました。氷菓だけでなく、氷自体の需要も例年以上でした。35度以上の猛暑が続くと、お客さまにとって氷は必需品となる。マチのインフラとしても、氷だけは品切れにさせないように注意喚起をしていました。
熱中症対策として水分補給の必要性が叫ばれていたこともあり、1.5リットル以上の大容量の飲料も前年比120%に。2杯分の分量があるマチカフェ「メガシリーズ」も、前年比160%と好調でした。
また、塩分補給の手段として、梅干しや梅入りおにぎりもよく出ましたし、さっぱりとした味わいの「いなりずし」も入荷したらすぐに売り切れる状態でした。
いなりずしとセットで買われたのは、冷やし麺。冷やし麺の中でも、冷やしうどんは前年比210%の売れ行きでした。いなりずしとうどんは関西では定番の組み合わせですね。
一方で、実は夏にはホット商品もよく売れるのです。都心のビルに入っている店舗などは冷房の影響で、温かいものを食べたいお客さまは多い。そうした店舗では、グラタン、ドリア、ラーメン、パスタなどの品ぞろえを強化しました。8月上旬からは、早くもおでんの販売をスタートさせました。気温や天気等、外部の環境によるお客さまのニーズを見極めるのは、商売の基本。
商品を買うだけでなく、お店で涼を取ってもらってもいい。マチのインフラとして、どんどんローソンを活用してもらえればと思っています。
※AERA 2018年9月3日号

