稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。著書に『寂しい生活』『魂の退社』(いずれも東洋経済新報社)など。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)も刊行
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。著書に『寂しい生活』『魂の退社』(いずれも東洋経済新報社)など。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)も刊行
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汗を拭うのに最強なのは手ぬぐい!汗はガシガシ吸うし洗えばすぐ乾く。さすが高温多湿の国のプロダクト(写真:本人提供)
汗を拭うのに最強なのは手ぬぐい!汗はガシガシ吸うし洗えばすぐ乾く。さすが高温多湿の国のプロダクト(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】汗を拭うのに最強なのは手ぬぐい!

*  *  *

 エアコンを手放して8年めともなると、もはや酷暑すら孤独な暮らしにおいては「友達レベル」となっている今日この頃。暑いと思わないわけじゃないが、それほど苦にもならず。だって苦にしたところで対抗手段がないんだもん。厄介な友も、いったん受け入れてしまえば案外憎めない奴だったりする。

 で、今年もその厄介な友と差し向かいで過ごしているわけですが、最近親しさが一段と増した気が……。一体なぜ? 思い当たったのが、化粧を完全にやめたことでありました。

 リップだのファンデだのはとっくにやめてたんですが、基礎化粧として「手作り化粧水」と「日焼け止め」だけは使っていたのです。でも屋外で長時間過ごすわけじゃないしなぁと試しに日焼け止めをやめてみたら水洗顔になり、そうしたら化粧水をつけなくても乾燥しなくなり、文字通り何も塗らなくなった。

 いやー、これが爽快ったらありゃしない!

 いくら汗をかこうがベタベタしない。もちろん化粧崩れの心配もない。ただ手ぬぐいでグイと拭えばよし。こうなると汗をかくことが全く苦になりません。っていうか、むしろデトックスじゃん! 老廃物よさようなら! そう思うと暑さもそれなりにありがたく。だって街ごと天然のホットヨガスタジオみたいなものなわけですから。

 もちろん、日焼け止めを塗らないとシミそばかすなど増えるかもですが、53歳だしね。いつまでもツルピカの肌というのも恐ろしい。必要以上に日なたへ出ていくことを避ける程度で良しとすることにしました。

 なーんてことを考えていたら、ある高齢女性向け化粧品の広告タイトルが「63歳。このシミさえ、なければ」だって(笑)。いやもちろんシミのない人生もすばらしいのでしょうが、シミがあってもいいという人生も悪くない。シミそばかすだらけの素肌でニカッと笑えるのって、ある年を経た人だけの格好良さです。

 と思うのは自由、ってことで。

AERA 2018年7月30日号

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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