フリーランスの働き方は社会を変えるのか。民間の調査結果などからフリーランスの現状を探った。
クラウドソーシング大手のランサーズ(東京都渋谷区)が4月に発表した調査結果によると、2018年のフリーランスの推定報酬額にあたる推定経済規模が初めて20兆円を突破。日本の給与支払総額の10%を占める額だという。フリーランスは今や、日本経済の一翼を担う労働力なのだ。
同調査によると、フリーランス人口は、15年の913万人から17年は1122万人と約2割増。18年は1119万人と横ばいだったが、同社は「企業の働き方改革が進めば、今後再び拡大する」と予測する。
ただ、こうしたデータは副業なども含む「広義のフリーランス」が対象だ。フルタイムのフリーランスに限定すればどうなるのか。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(東京都中央区)が4月に公表した「フリーランス白書2018」によると、月の平均勤務時間が140時間以上のフルタイムフリーランスの年収で最も多かったのが、「300万~500万円」で30.2%。500万円未満が過半数を占めた。この年収分布は企業に雇用されている会社員の比率と同様だ。
一方、年収100万円未満と800万円以上の割合はフリーランスの方が多く、会社員よりも年収のばらつきが大きい特徴も浮かぶ。
会社に所属していたことがあるフリーランスに「会社員時代に比べて、増えた(上がった)/減った(下がった)もの」を質問したところ、「満足度」(84.3%)や「スキル・経験」(80.8%)、「人脈」(68.7%)、「生産性」(64.7%)が向上。減ったのは、「働く時間」(61.5%)だった。
今の働き方の満足度は、「社会的地位」や「収入」を含む全項目で、満足している人はフリーランスの方が多く、不満を感じている人は会社員の方が多い、との結果も。意外に感じられるかもしれないが、同協会は「収入や勤務時間の多寡にかかわらず、フリーランスは自ら働き方を選択し、納得した上で自律的に働いている人が多いため」と推察している。