政府も働き方改革の一環として、フリーランスが働きやすい環境を後押しする方向だ。
経済産業省は「人生100年時代」に社会で活躍し続けられる「人材力」をどう育成するか、との観点からフリーランスに注目している。同省経済産業政策局産業人材政策室の藤岡雅美室長補佐はこう強調する。
「一つの会社に長く勤め、定年退職後は年金暮らし、という『昭和の標準的な人生』は変わりつつあります」
同省主体の「人材力研究会」は企業側の意識変革の重要性も指摘する。藤岡室長補佐は言う。
「これからの時代は『企業に自らのキャリアを任せきりにすることなく』『志を持ち』『自らの足で立てる』人材となることが重要です。フリーランスのような、雇用関係によらない人材の活用が、結果として競争力強化につながることを企業側にも認識してもらう必要があります」
一方、厚生労働省は自営型(非雇用型)テレワークの実態把握を進め、今年2月に「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」を改定。クラウドソーシングの普及に伴うトラブルの実態も踏まえ、仲介手数料の事前明示など仲介事業者に求められるルールを明確化した。
また、「雇用類似の働き方に関する検討会」でフリーランスをめぐる課題を整理し、法的保護の必要性も含め検討している。
同省雇用環境・均等局在宅労働課の永倉真紀課長補佐は「契約ルール、セーフティーネット、教育訓練などフリーランスをめぐる検討課題はたくさんあります。働く人の視点にも立って検討を進めたい」と話す。
ただ、フリーランスの定義については「少なくとも、厚労省として法令等で定めているものはありません。働き方改革実行計画では、『雇用類似の働き方』について検討することとされています」(永倉課長補佐)との説明で、明確な位置づけは図られていないのが実情だ。
主に雇用労働者向けに設計された現行の国の社会保障制度は、フリーランスにとって脆弱なのは否めず、新たな仕組み作りは必須だろう。(編集部・渡辺豪)
※AERA 7月2日号