注目を集めたのが、この4月に新設された広報室だ。初代室長に警察庁警備局の外事情報部出身の藤原麻衣子氏が就任した。
「ネット上で皇室への理不尽ともいえる批判が止まらない状態です。藤原広報室長という外事警察が来たのは、ネットを含む反皇室の思想を持つ勢力への目に見える形での威嚇ではないかとの見方もあります」(前出の山下さん)
総務課は、両陛下のお出ましに関する実務を取り仕切る部署だ。必然的に、都道府県警と連携しての警備も関係してくる。そのため、総務課長は警察官僚のポストになっている。
現在の総務課長は、警察庁長官官房参事官を務めた鈴木敏夫氏だ。
重厚な布陣の「目的」
さらにこの4月から、皇居内の施設や御用邸、御料車や財産の管理事務を行う管理部長のポストにも、大物警察官僚である野村護氏が就任した。
野村氏は、警察庁から宮内庁の総務課長に就任。令和への代替わりのときは、宮内庁の侍従として仕えた。その後、福岡県警本部長時代は指定暴力団工藤会対策を、大阪府警本部長のときは指定暴力団山口組の分裂抗争やサイバー犯罪対策に取り組むなど、そうそうたる経歴を持つ人物だ。
皇室の最大の山場である代替わりの儀式を終えたにもかかわらず、外事警察や公安畑、暴力団対策の指揮を経験した警察官僚を配置した。これだけ重厚な布陣とした目的はわからない。
「次世代の皇位継承者が悠仁親王殿下おひとりであるいま、皇室典範の改正は必須です。他方、この議論に乗じて、皇室の弱体化を謀ろうとする組織があるかも知れません。特定の思想的な力などが働いているとすれば、看過すべきではありません。10年、あるいは20年先に皇室の危機が訪れる可能性もあり、それらを見据えての布陣かもしれません」(山下さん)
(AERA dot.編集部・永井貴子)