実はさらに追い打ちをかけたのが金融庁なのです。金融機関の経営安定という名目で、地銀にさえ4%という高い自己資本比率の達成を求め、その資本の質にまで規制をかけたので、リスクウエートがゼロの資産、要するに日本国債を買う一方で、リスクウエート100%の融資(格付けによって差がある)に対して極めて消極的にならざるを得ないという事態を迎えたわけなのです。
金融庁には、地銀が行っている融資をきちんと審査し、優良取引先であればリスクウエートを下げるという選択肢があったわけですが、これができる審査官がいなかった。なので地銀は地元企業への融資はできないという方向に一気に走った、というのが今の結果と言えます。
これはある意味「人災」で、あれから二十数年、今やきちんと融資を審査できる人が地銀の中にいなくなってしまったというわけですね。
※AERA 2018年5月14日号
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