PTA活動の内容は、親の足が遠のいてしまうほど非効率なケースも多い。しかし、ITを駆使して作業量を減らすなど、現場にも変化がみられてきた。
さいたま市の公立小学校に昨年子どもが入学したAさん(38)は、PTA活動にわき上がる疑問を禁じ得ない。商品パッケージについた膨大な量のベルマークを切り貼りして、学校にわずかな贈り物をするのも無意味な気がするし、写真だらけのPTA広報紙も何を目指して作っているのかさっぱりわからないという。
「そもそもPTA活動への参加は任意って聞いていたけれど、そんな説明は一度もなく、当然のように委員決めが行われます。活動の非効率さには疑問だらけ。何も言わずに6年間やり過ごすのが普通なんでしょうけれど……」
こんなPTAの古い慣習に夫婦で立ち向かった例もある。都内の区立小学校に子どもが通うBさん(41)は、PTAの役員決めをする際、事前アンケートに「クラス役員はできませんが、他のことでご協力します」と書いて提出した。子どもに喘息があり、普段、夫婦交代で休みをとりながら通院などの対応をしていることもあり、PTAの役員までは無理だと思ったからだ。それなのに、話が伝わっておらずクジ引きで役員に決まってしまった。
場の空気にのまれ、引き受けるしかないと妻は思ったが、夫が毅然と抗議。クジ引きが行われた教室の前に出て、
「私たちはできることは協力しますが役員はやれません」
と宣言した。教室の空気が凍りついた。Bさん夫婦は廊下で役員に取り囲まれ、「PTAはそんな甘いものじゃない」と叱責された。退会まで考えたが、役員からは「退会すると、子どもがPTA主催のイベントや登校班に入れなくなる」と脅しにも近い言葉を吐かれた。
最近、PTA活動は任意だという認識が広まり、負担の大きさもあって参加を拒否する親が増えてきている。ただ、非会員だからといって、その子どもに差別的な対応が許されないことは、いまや全国の共通認識だ。