わが身に当てはめて考えている。官僚のやりがいは何だろうか――。

 ある中央省庁の幹部官僚は「安倍政権は支持しない」と答えた。その理由は明確だ。

「多くのサラリーマンの方の実質賃金も上がっていない。女性の就業率が増加しているといっても、子どもの学費などのために働かざるを得ない人たちも多いのではないか。現状をきちんと分析し、現場の実態に基づき議論を行って、効果のある政策を作るという雰囲気ではない」

 東京生まれ東京育ちで、小学校や中学校から私立学校に通ったという公務員や政治家が増え、弱い人の立場からものごとを考えられるのか、そうした疑問も強く感じている。

 ただ、一番の問題は官僚同士の忖度だと話す。

「政策を作ったり、調整能力が高かったり、仕事上の評価は話題にもならない。上司や省内の有力者に気に入られるように、うまく立ち回る人物が出世する傾向が強い。結果として、政策を考える力が落ちている。政権のせいにするだけでは霞が関の劣化の問題は解決しない」

(編集部・澤田晃宏)

AERA 2018年4月30日-5月7日合併号

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