「海外のスナックで肉系の一般的なフレーバーと言ったら、まずバーベキュー。じゃあ日本なら、となったとき浮上したのがコンソメだったのでは。コンソメは出汁、肉と野菜から取ったスープ。日本人の出汁文化と実に相性がいい」

 この点については食文化に造詣が深い編集者、ライターの畑中三応子も同意見だ。

「コンソメスープって要はアミノ酸の味だから、出汁に慣れた日本人の舌には馴染み深い」 

 ちなみに、西洋料理でコンソメは定番だが、海外で「コンソメ味」を掲げたポテトチップスは一般的ではない。カルビーの御澤も海外では「見たことがない」そうで、ネット上には「アメリカではあまり見かけないフレーバー」というアメリカ人の証言も確認できる。肉系の方向性は「ビーフ」や「バーベキュー味」がカバーしているため、肉や野菜の出汁である「コンソメ(スープ)」をわざわざフレーバー化しないということか。

 すなわち、ポテトチップスのフレーバーにコンソメを採用するのは、出汁文化の日本ならではの発想であり、コンソメがフランス発祥だとしても、「ポテトチップスのコンソメ味」は日本人の発明なのだ。

 なお、現在の「コンソメパンチ」には「隠し味」として梅肉パウダーが入っている。これも湖池屋の「のり塩」と同じく和洋折衷・日本風アレンジの産物であり、日本人の味覚にフィットさせる工夫のひとつだ。

《コンソメパンチはその登場時、世間からどのように受け止められていたのか? 朝日新書『ポテトチップスと日本人 ――人生に寄り添う国民食の誕生』(稲田豊史 著)で詳述している》

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