厳しい表情で記者会見に臨んだ西野朗新監督 (c)朝日新聞社
厳しい表情で記者会見に臨んだ西野朗新監督 (c)朝日新聞社
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 日本サッカー協会(JFA)は9日、サッカー日本代表の指揮を執っていたヴァイッド・ハリルホジッチ氏(65)の解任を発表した。ロシアW杯開幕まで2カ月余りとなったこの時期の監督交代は大きなリスクを伴うともいえる。だが、W杯アジア最終予選以降は、結果以上に低調な戦いぶり(3勝2分け4敗、9戦で16失点)が目立ち、解任論を叫ぶ声も出ていただけに、解任自体に驚きはない。

 違和感を覚えるのはギリギリとなったこのタイミングと、後任にこれまで技術委員長という立場でハリルホジッチ前監督を評価、サポートする側にいた西野朗氏(にしのあきら・63)が就いたということである。

 土壇場での解任劇の背景には、前任者の独断的な言動や采配に不満を持ちながらも、決断を先延ばしにしてきたJFAのつたなさがあったのは言うまでもない。

「選手とのコミュニケーションや信頼関係が多少薄れてきたこと。そして、今までのさまざまなことを総合的に評価してこの結論に達した」

 田嶋幸三会長は主な解任の理由について、監督と選手側の不協和音を挙げたが、どうもすっきりせず、あくまで推測だが香川真司(29、ドルトムント)ら人気選手を外すメンバー選考がスポンサーの不評を買うなどといった忖度(そんたく)があったとしても不思議ではない。

 西野氏自身「当初は(監督就任を打診され)戸惑った」と話した。「内部で一番(チームを)見てきた」という田嶋会長の説明は聞こえこそいいが、ハリルホジッチ氏にすれば愚痴をこぼせると思っていた相手に「代打、オレ」を告げられたのだから、そもそも監督と選手間以上に協会と監督の間に真の信頼関係などなかったともみえる。

 本来、技術委員長はともに責任を取るべき人物。それが気付けば監督だけを解任し、自分がその座に就くというのだから理解に苦しむと言わざるを得ない。

「監督が代われば、選手の評価も変わる」

 日本代表OBや解説者からよく聞かれる言葉である。監督が代わった以上、メンバー選考や戦術は大きく変わるはずだ。

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