仮想通貨の「ネム」約580億円分をハッカーに盗まれた「コインチェック事件」で人気が衰えるかと思いきや、「暴落した今が買い時?」とばかりに挑戦する人も多いと聞く。
値上がりすれば儲かり、値下がりすれば損失が出る仮想通貨だが、売買するにはさまざまなコストがかかることをご存じだろうか。
単純に値上がり益だけで考えると痛い目を見るのが投資の世界。もし仮想通貨を買うなら、事前に知っておきたい「マイナス要素」について解説する。
■売買コストは取引手数料だけじゃない
株式投資をするとき、買うときも売るときもかかるのが売買手数料。仮想通貨にも売買手数料は当然かかるが、その前に意外なコストが発生する。
それは、資金の入金コストだ。仮想通貨を売買したいなら、自分の銀行口座から仮想通貨用の投資資金を入金しなければならない。
入金は、業者が指定した銀行口座への振込のほか、ネットバンキングを使ったクイック入金、コンビニ入金、クレジットカードの利用が可能な業者もある。
シェア首位のbitFlyerの場合、銀行振り込みの入金手数料は自己負担、クイック入金の手数料は1件当たり324円、出金時の手数料は216~756円。入出金無料が当たり前のネット証券やFX会社に比べると、なかなか割高だ。
売買手数料は、販売所(業者自体が仮想通貨を売る場所)で買うか、取引所(投資家同士の希望売買金額をマッチングする)で買うかで、かなり違う。
bitFlyerの場合、販売所で購入するときは手数料自体は無料だが、提示されている買値と売値の差であるスプレッドが購入コストになる。
相場が落ち着いている平時でも、ビットコインのスプレッドは1BTC(ビットコインの通貨単位)当たり4万~5万円程度。これは売買金額の2%以上を占めており、かなり高額だ。
投資家同士が注文を出し合う取引所の場合、売買代金の0.15%が取引手数料として徴収されるケースが多い。
こうして販売所と取引所を比べてみると、販売所のスプレッドはかなり割高なため、取引所で投資家相手に売買するほうがコスト面では圧倒的に有利といえる。