特に試合前日はその土地の観光に出かけたり、ウィンドーショッピングをしたり。あとは美味しいものを食べて、スノーボードのことを忘れて過ごすことがほとんどです。とにかく、力を抜くこと。これはもう、ある程度自分の裁量で大会前の時間を使えるようになってきてからは、ずっと私が続けているルーティンですね。特に日本人は最後まで努力をし続けることが美学のように考えているところもありますが、私が見てきた欧米のトップ選手はみんな戦う時とそれ以外の時間のメリハリのつけ方が上手でした。皆さんの日常生活に置き換えると、「今日まで旅行に行ってきたから、明日から仕事頑張ろう!」とか、女性なら「甘いものたくさん食べちゃったから、明日は走ろう!」みたいな感じですね。

 あとは海外での試合がほとんどなので、時差調整が必要です。スノーボードは当然寒い土地での試合になりますが、私はあえて直前まで開催国と経度が近い暖かい場所で調整することがあります。経度が近ければ時差はそれほどありません。さらに寒いところでは室内に入りがちですが、暖かい場所では屋外で過ごしやすく、朝から夕方まで陽に当たることで夜熟睡できるという体のサイクルをつくることができるのです。

 このように、意外とリラックスしている試合前。人間、集中できる時間はすごく限られています。だからこそ、そこに向けた充電がより大切になるのです。(構成/西川結城)

AERA 2018年2月5日号

暮らしとモノ班 for promotion
「最後の国鉄特急形」 381系や185系も!2024年引退・近々引退しそうな鉄道をプラレールで!