NPOやソーシャルビジネスが社会経済に与える影響がますます強まっていくことは間違いありません。特にソーシャルビジネスは、社会問題を解決しながら経済も活性化し、雇用も増やしていく。効果が大きいですね。内閣府の委託調査では、2014年時点で「社会的企業」は20万5千社あって、そこが生み出す付加価値額は16兆円、有給職員数は577万6千人にのぼるという推計もあります。
これをもっと広げていくために、政治ができることはまだまだある。例えば、ソーシャルビジネスに対する融資拡大や信用保証制度の適用。中小企業支援策やベンチャー支援の税制も、株式会社ならOKだけどNPOはダメというのはおかしい。そこも改善するといったことが考えられます。
NPOやソーシャルビジネスの代表者はたとえ事業規模が小さくても、「事業主」ということで雇用保険の対象外になってしまうんですが、そこを適用できるようにするとか、制度や税制の面で政治にできることはあると思うんです。
もう一つ、行政と民間のパートナーシップの新たな取り組みとして注目されているのは「社会的投資」です。「社会的インパクト投資」「ソーシャルインパクトボンド」などとも言われます。
社会的な課題を解決する目的で投資家から資金を調達し、行政サービスを民間の企業やNPOに委託。事業が成果を上げたら、削減された行政コストの一部を投資家に還元する仕組みです。欧米で始まって、日本でも、認知症予防や若者就労支援の分野で実験的取り組みが始まっています。この普及に向けて、政治の側でも議論していきたい。
公益を担うNPO、ソーシャルビジネスは、介護や子育ての分野ではかなり出そろってきました。今後はそれらに加えてぜひ、自然エネルギーや農業などにも広がっていくことを期待しています。政治サイドからも強力にバックアップしていけるように、がんばらないと。
(編集部・石臥薫子)
※AERA 2018年2月5日号