社会問題をビジネスで解決する社会起業家を目指す人が増えている昨今、彼らが活動しやすい環境をどう整えるかがさらなる発展の鍵になる。政治の立場で何ができるのか、早稲田大学在学中にピースボートを設立した立憲民主党の辻元清美衆議院議員に聞いた。
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世界各地を船で回って、現地の人と話してみようというコンセプトでピースボートを始めたのが35年前。そこから考えると、いまは隔世の感がありますね。私も政治家として成立に尽力した特定非営利活動促進法ができてから、NPOの認知度も格段に高まりました。
ソーシャルビジネスの分野では、アフリカなどから宝石を適正価格で買ってきて、かっこいいジュエリーにデザインして売るといった、貧困問題の解決とおしゃれを両立させるような新しいモデルまで出てきた。
かつて市民が社会問題の解決に挑戦するというと「ダサい」とか「暗い」とか「真面目すぎる」と思われがちでしたが、イメージも随分変わりました。最近、担い手が女性やシニアにまで広がってきていることも、すばらしいことだと思っています。
旧民主党政権では官邸に、総理や官房長官、NPOの代表や地域の活動をしている人たちが集まって「新しい公共」円卓会議を開き、税制や法律改正などに取り組みました。
政府と企業と市民が、対等なパートナーシップを組み、社会的課題の解決のために協働していこうという、これまでにない考え方が「新しい公共」です。
国や自治体の業務を市民セクターに担ってもらう際は、依存型の補助金や下請け型の業務委託ではなく、民間から提案できる仕組みもつくっていこうとか、非常に画期的なアイデアも盛り込まれていました。
でも安倍政権になって、復古調というんでしょうか、「市民社会」といったものに違和感を持つ人たちが出てきたようで、「新しい公共」に対する政治的関与が後退してしまっている。そこは非常に残念に思います。