世襲政治家の中でも4代目と3代目、小泉進次郎氏(36)と福田達夫氏(50)が本を出した。その名も『小泉進次郎と福田達夫』。自民党農林部会長と同代理として農政改革に取り組んだ2人が、農業のこと、世襲のこと、家族のことについて語り合っている。達夫氏に話を聞いた。
* * *
──祖父は福田赳夫元首相(1905~95)。岸信介元首相の系譜の清和会を率い、森喜朗、小泉純一郎両首相らを育てました。その著書『回顧九十年』で読んだのですが、祖父のことを「先生」と呼んでいたそうですね。
おじいさんという存在を“先生”と呼ぶものだと思っていたんです。だから、幼稚園に行ったら先生がいてびっくりしました(笑)。
──祖父と政治の話をしたことはありますか。
僕が28歳の時に祖父は90歳で亡くなりましたけど、一切したことはありません。葬儀の時に、遺族の前に立ちふさがる政治家が多いなかで、小泉純一郎元首相だけがカーテンの陰の、人から見えないところで、黙って手を合わせていたことをよく覚えています。
──父、康夫氏(81)はむちゃくちゃ厳しかったと本にありますね。
父親としては反面教師かな。愛情表現が下手なんです、照れ屋というか(苦笑)。でもそれは、大人になった今だからわかる話で。5歳になったときに一戸建てに引っ越して、庭で「キャッチボールするぞ」って言われてやったら、容赦なしに全力で投げられて、これがものすごく痛い。5歳児の初心者ですよ。キャッチボールが嫌いになりました(笑)。
──大学時代、お小遣いが月5千円だったとか。私は達夫さんと同世代ですけど、あのバブルの時代に5千円とは驚きです。
バイトは家庭教師以外禁止だったんですけど、自分が人にものを教えられると思っていなかったんで(笑)。本は買ってもらえました。(慶應義塾)大学に行くのは学ランでしたから。あとはたまに内緒で引っ越しの手伝いをしてお金をもらったりとか。