タカノフーズの研究所で。菌が違えば糸の引きも異なる(撮影/写真部・岸本絢)
タカノフーズの研究所で。菌が違えば糸の引きも異なる(撮影/写真部・岸本絢)
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S-903納豆菌の電子顕微鏡写真。納豆菌胞子の状態(写真:タカノフーズ)
S-903納豆菌の電子顕微鏡写真。納豆菌胞子の状態(写真:タカノフーズ)

 血液サラサラになるから……だけじゃなかった。秘めたる能力はまだたくさん。免疫機能も向上するほか、なんと南国の河川浄化にも役立っているという。

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納豆は昔から食卓の定番だが、全国納豆協同組合連合会の推計によれば、

インドの中央汚染監視局による大規模テストでの施工風景(写真:コヨウ提供)
インドの中央汚染監視局による大規模テストでの施工風景(写真:コヨウ提供)

2016年の市場規模は前年比16%増。多様化する商品の中、異彩を放つのが「納豆も“菌”で選ぶ時代に!」というキャッチコピーで昨年登場したタカノフーズの「すごい納豆 S-903」だ。

 同社の研究所は、国内きっての(それはつまり「世界きっての」と同義だが)、2200種類もの納豆菌を保有している。納豆菌は「枯草菌」の一種で、自然界にありふれた菌。そこで全国各地の営業所にいる社員に、土や枯れ草などを集めて研究所に送ってもらい、そこから菌を分離し、保管してきた。菌にはそれぞれ個性があり、そこから作り出される納豆は糸の引き方、豆の硬さ、匂いの強さなどが一つひとつ異なる。

 S-903は、2200種の中で903番目に登録された菌を使ったというわけだが、一体この菌の何がすごかったのか。納豆研究部門の小林知世さん(27)が説明してくれた。

「昔から『風邪のひき始めに納豆汁』と言われ、免疫力を高めるという言い伝えはありましたが、そのメカニズムはよく分かっていませんでした。最近の研究で、納豆菌が腸管上皮細胞に働きかけて免疫機能を高めることが分かり、中でもS-903納豆菌は従来使う菌より免疫機能性が1.5倍高かったんです」

 ただ、その菌からおいしくて商品化できる納豆が作れるかどうかは、また別問題だ。

 過去には、豆が軟らかくなる特徴を持った菌を使い、軟らかい食感の商品を作ろうと試みたが、発酵が進みやすく日持ちがしない欠点があり、発売にはいたらなかった。研究を重ねて発酵の設定などをさまざまな条件で試し、S-903納豆菌で作る納豆をおいしく食べられる製法がやっと完成したのが、菌の登録から15年後、実は昨年のことだ。

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