竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信「2018年をデジタル元年に」(※写真はイメージ)
竹増貞信「2018年をデジタル元年に」(※写真はイメージ)

「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 年初の抱負でも述べましたが、今年は、ローソンにとっての「デジタル元年」と位置付けています。確実に、ロボティクスを前進させます。

 この連載でもご紹介したように、2017年10月から福島県南相馬市で、移動販売とドローンを組み合わせた実証実験を楽天さんとスタートさせました。店舗から離れた場所にも、温かい商品をお届けできます。厳しい規制の中でどこまで何ができるのか。データを積み上げています。

 昨年12月には日本郵便さんと連携して、自律走行する配送用ロボットによる無人配送にもトライしました。南相馬市のあるグラウンドの敷地内に、仮想の郵便局、ローソン、お客さま宅を設置。郵便局やローソンからお客さま宅に郵便物や商品を配送ロボットが無人で届けるという実証実験です。

 将来的には、実際の店舗から配送用ロボットで、郵便物やローソンの商品をお届けできる時代になるはずです。

 お弁当やおにぎりなどの工場でも、より広くロボットを導入したい。いまは包装だけがロボットで盛り付けは人です。つかむ圧力などもプログラミングで調整し、ロボット化できないか研究しています。

 店舗内調理の「からあげクン」なども、ボタン一つで規定の分量を揚げ、箱詰めまで自動でできるようにならないか。そうすれば、揚げ物をしながら接客もできて、レジ効率は格段に上がります。

 チャーハンや牛丼などシンプルな料理を、ロボティクスを活用しておいしく作ることも試したい。とにかく、どんどんチャレンジします。

 ひとつ重要なのは、デジタル化の推進は、ローソンの「無人化」とイコールではないということです。むしろ逆。人手不足が進む中、デジタル化でいままで以上に丁寧にお客さまと触れ合えるようになる。温かいハートの部分を最大化するための「デジタル化」なのです。

 私たちの気持ちはお客さまと共に。それはまったく変わりません。

AERA 2017年1月29日号