人間関係のストレスに対処する、私なりの方法は2パターンある。1つは「自己暗示」をかけること、もう1つは「状況終了」という方法。この2つに共通しているのは、自分でコントロールできるという点だ。長年、人間関係に思い悩みながら気づいたのは、「他人を変えるのは不可能」だということ。不可能なことを可能にしようとあがくと、怒りや恨みが生じる。そんなふうに過ごすよりも、自分にできること、自分が変えられることに力を注いだほうがいい。
自己暗示をかける
1.「私は自分の職業を愛している」。これが最も重要なポイントだ。ストレスに打ち勝つには、仕事がもたらすやりがいと楽しみがなければならない。もし仕事がおもしろくないなら、今の業種が自分に合っているのかどうかをまず見つめ直してみる必要がある。
2.「今の会社は、やりたい仕事を実現する多数のオプションの中の1つに過ぎない」。会社と人生を同一視しないこと。あなたはいつでも羽ばたくことができる。勤め先の言いなりにならないためには、ここじゃなくてもお金は稼げるという自信と能力が必要だ。耐えるしかないというのと、耐えることを選択するということには大きな差がある。
3.「会社は労働を提供してお金をもらう場所に過ぎず、何かを教えてもらう場所ではない」。教えてもらうことが目的なら、学校やカルチャーセンターに行こう。
4.「他人に大きな期待をしない」。多くの場合、期待が失望を生む。はじめから期待しなければ、失望することもない。上司が自分より多くのことを知っているだろうという期待、役員ならそれなりのビジョンを抱いているだろうという期待、開発者は自分の仕事を知り尽くしているはずだという期待……。こうした期待は抱かないほうが精神衛生上いい。
5.「“ここで学ぶことはない”という言葉は、自分の学習能力が足りないという意味でもある」。学ぶというのは能動形の動詞だ。おのずと「学ばれる」ことはない。同じ場所で同じ経験をしても、学びを得て成長する人とその場で足踏みばかりしている人がいる。うっぷん晴らしやヤケ酒が必要なときは1日限定にして、次の日からまた前進しよう。
6.心の整理整頓術で、その日の感情を仕分けする。会社で傷ついたこと、イヤだった言葉、あるいはうれしかった言葉を分類し、捨てるものはすぐに捨てて、とっておくものはじっくり噛みしめて自尊感情を高める。あなたは大切な存在だから。
状況終了
自己暗示がうまくいっていても、聖人君子でもないかぎり耐えられない限界がやってくることがある。どうしても許せない“極端に嫌なポイント”は人によって異なる。夕食のとき、中学生の双子の娘にいちばん嫌いなタイプの人を聞いてみたら、ヘナは「ネガティブな人」、ユナは「遠回しに話す人」だという(考えたこともない答えだった。斬新だ。ふふ)。