(1)下味をつけた食材を耐熱性の密閉型プラスチック袋に入れる。このときできるだけ空気を抜き真空に近い状態にする。(2)水を張った鍋にBONIQを入れ、調理温度と時間を設定。(3)鍋の湯が設定温度になったら(1)を入れ、あとは終了音を待つだけ。

 器具任せの、いわば「ほったらかし料理」。だから料理経験があまりなくても、低温調理のおいしさは得られる。並行して別の料理にとりかかれ、肉だけでなく魚や野菜料理にも活用可能だ。さらに“時短効果”もあると、先の米山さんは言う。

「果実酒は仕込んでから飲めるようになるまでふつう1~2週間かかりますが、約2週間かかるいちごの果実酒も低温調理だと12時間くらい。ピクルスも30分くらいで食べられます」

 低温調理では価格の安い肉や部位ほどおいしさの違いを実感できる、と米山さんは言う。

「一般的に牛肉はサシ(霜降りの脂)が多いほど高価ですが、低温調理では脂のうまみを肉に閉じ込めたまま味わえる。このため高価なA5等級の肉だとくどく感じられ、A3等級の肉のほうが良いケースもある。赤身が多くて、サーロインなどより安い、ももやランプもおいしく仕上がります」

 ほったらかし調理で、時短も可能。安い肉もおいしく仕上がるとくれば、肉好きだけでなく、家庭の主婦の間でブレイクするのも時間の問題かもしれない。(編集部・石田かおる)

AERA 2018年1月1-8日合併号より抜粋