「(黒人が人種差別を訴えて蜂起した)ロサンゼルス暴動(92年)の時も、当時のブッシュ大統領(父)の経済政策が遠因だと非難されたが、逆に暴動を正当化するのかと驚いたのを覚えている。全てを大統領に押しつけるのは、白人至上主義者の主張と同様、極端すぎる。人種差別も白人至上主義も昔からある問題で、一人の大統領がどうこうできる問題ではない」

 確かに人種差別の問題は、米国社会で長く深く根を張る問題だ。ロサンゼルス暴動は、速度違反で捕まった黒人男性を暴行した白人警官への無罪評決が引き金となったが、現在も同様の問題が起きている。11年末に麻薬密売容疑で追跡した黒人男性を射殺した白人警官が、今年9月に無罪判決を受けた。このことに抗議して、米プロフットボールリーグ(NFL)の選手たちが試合前の国歌斉唱の際に片ひざをついて起立を拒んだり、腕を組んだりする行動を続けており、分断を象徴する別の出来事として社会問題化している。

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