

昨年結婚した人の1割以上が、婚活サービスで相手を見つけた、というデータがある。リクルート ブライダル総研の「婚活実態調査2017」だ。婚活サービスを利用する人の総数も、増え続けているという。
なかでも、2015年から16年にかけて、成婚した人の利用率がグッと高まったのは、恋活のためのサイトやアプリだ。
いまや、男女の出会いの場はネット。「2次元」の情報しか伝わらない分、現実世界以上に「見た目がいい人」が選ばれることになる。
結果、プロフィル画像を「盛る」ことが常態化した。ネットで出会い、プロフィルの見た目に惹(ひ)かれてやりとりを始めるものの、実際に会うとプロフィル画像とは顔が違って幻滅……という経験がある人は、少なくないだろう。
サイバーエージェントのロボットサービス事業部主任研究員の岩本拓也さんの実験が興味深い。「盛った」プロフィル画像を、ネット上での出会いから実際に会うまでの間に徐々に元に戻したらどうなるか、というものだ。
12人の20代男性にまずは画像処理をした20代女性の写真を見せ、10日間、毎日写真を見せながら、少しずつ、画像処理をしない女性の本来の画像に戻していった。岩本さんによれば12人中10人は、毎日見ている女性の顔が変わったことに気づかなかった。
「婚活サイトで知り合ったが会ったら顔が違う、というクレームがある。それならプロフィル画像を『盛って』入り口を広げ、しばらくネット上でやりとりを続けて互いのことを知る。その間に少しずつ画像を元に戻せば、会っても幻滅せずに関係を継続できるのではないか」
岩本さんはそう結論づけた。確かに、出会いの段階でその人に惹かれる、惹かれないを左右するのは「見た目」かもしれないが、コミュニケーションを経て仲良くなれば、見た目の重要性は下がっていくだろう。
実際の婚活サイトでこの手法が使われているわけではないが、サイバーエージェントは、 「『盛る』かどうかを利用者が選択できるようにするなど、倫理面に配慮したうえで実用化も検討している」(岩本さん)
という。