リベラルの受け皿はないのか──。そんな有権者の後押しを受け、「立憲民主党」が誕生した。“排除の論理”を振りかざした希望の党はなおも対立候補をぶつけるなど対決姿勢を見せる。
10月3日夕、立憲民主党の初鹿明博前衆院議員(東京16区)の選挙カーには、同日午前に東京都選管に届けが提出されたばかりの「立憲民主党」のロゴマークがあった。夏の都議会議員選挙では小池旋風が吹き荒れたが、初鹿氏は言った。
「風は吹かないどころか、希望の党にはむしろ逆風ではないか。公認をもらうために、これまで反対と言っていた安保法制に口を閉ざす。さすがに有権者もおかしいと思うでしょう」
希望の党の関係者は「名を捨てて、実を取るはずだったのですが……」とため息をついた。
「民進党の希望の党への事実上の合流が決まった衆院解散日には『政権交代』という言葉も飛び交っていたが、小池劇場は1日で勢いが収束した感じだ」
希望の党代表の小池百合子東京都知事が側近の若狭勝前衆院議員らの活動を「リセット」し、自ら新党を立ち上げると表明した小池劇場。潮目を変えたのが「排除発言」だ。民進党の前原誠司代表は、希望の党への合流を提案した9月28日の両院議員総会で、「どんな手段を使っても安倍政権を止めなければいけない。名を捨てて実を取る決断をご理解いただきたい」と訴え、「誰かを排除するということではない」と説明していた。
だが、翌29日に小池氏が「全員を受け入れることはさらさらない」と発言し、事態が一変。安全保障、憲法観といった主要政策と一致しない民進党の立候補予定者は「排除する」と言い切った。民進党副代表の桜井充参院議員はこう振り返る。
「両院議員総会の前に開かれた常任幹事会で労組出身の議員から『全員が行けるのか?』と心配する声が上がっていたが、前原代表からは『全員が行ける』という説明だった」
冒頭の初鹿氏も、「政調副会長として公約づくりに関わってきた。両院議員総会では民進党の政策を持って、みんなで希望の党に行くという説明だったから、当初は希望の党に行く気持ちでいた」と振り返る。