10月初めの内定式も終わり、2018年卒の就活戦線はほぼ終了した。 19年卒のスタートは半年後、のはずが、すでに17年夏、インターンという形で火ぶたは切られていた。
厳しいとは聞いていたが、ここまでとは──。
慶應義塾大学3年生の男子学生(21)はこの夏、インターンシップの「現実」を思い知らされた。卒業するのは2019年。建前上、彼らの就職活動は18年3月にスタートすることになっている。だが、いまやインターンでも「選考あり」が常識で、「インターンの選考に受からなければ、本選考には進めない」とうわさされる企業も数多くある。
この慶應の男子学生も、夏から秋にかけて行われる大手のインターンに10社ほどエントリーしたが、7月後半から次々に「落選」を知らせるメールが届いた。大本命だった損害保険会社のインターン選考にも漏れた。最悪なことに、ここも「インターンの選考に受からなければ、本選考には進めない」とされる企業の一つ。エントリーシートを提出し、7~8人でグループ面接を受け、あとは30分に及ぶ1対1の面接をクリアすれば「当選」というところで振り落とされてしまった。
選考プロセスは本採用さながら。夏は、5日程度と比較的長めのインターンを実施する企業が多く、男子学生によれば、人気企業の選考の競争率は、
「50倍から100倍がザラで、同級生もかなり苦戦してます。しかも、大手の面接にいくと、呼ばれているのは旧帝大や早慶上智クラスの学生ばかりで、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政の各大学)以下はほとんどいない。『学歴フィルター』があることも含め、もう本番が始まっている感じです」
いまや「青田買いの場」と化したインターン。日本では1990年代に始まり、そもそもは就業体験を通じて働くイメージをつかむ「キャリア教育」の一環という位置付けだった。原則は「5日以上で、採用活動とは結びつけない」とされ、数年前まで参加者は意識の高い一部の学生に限られていた。