一方、日本で注目が集まったのは、2002年のこと。道路交通法の改正で飲酒運転の罰則が厳しくなったことがきっかけだった。その後09年、キリンビールが「キリンフリー」を発売したことで、人気が爆発する。

●各社が「0.00%」競う

「キリンフリー」で何より注目されたのは、そのアルコール度数だ。それまでのノンアルには、1%未満とわずかながら、アルコールが入っているのがお約束。世界で初めて「アルコール度数0.00%」を実現した真のノンアルの誕生だった。

 キリンビール・マーケティング部でノンアルコールビールチームを統括する阿部学さんが、こう教えてくれた。

「ノンアルコールビールの製法には大きく2種類あります。ひとつはビールと同じ製法で一度発酵させてから、アルコール分を除去などする方法。もうひとつは、発酵させることなく、ビールの味を一から作り上げていく方法です」

 かつてノンアルの製法で定番だったのは、「アルコール分を除去する方法」のほうだが、ビールに近い味を楽しめる一方で、「アルコール分を完全に除去できない」という欠点があった。

 そこで、発酵させない製法でビールテイストを再現したのが「キリンフリー」だ。発酵しないので、アルコール分は果てしなく「0」。ノンアルのアルコール表示が、「0.00%」のように、コンマ2~3桁に変わったのも、この商品がきっかけと言われる。同時に少しでもアルコール分が残るノンアルを「ローアルコール」と呼んで、区別する動きも広まった。

 その後、各社が0.00%の商品開発にしのぎを削り、地ビール業界も参入してノンアル戦争が勃発。数年後、「キリンフリー」のシェアを切り崩し、トップに躍り出たのは、アルコール、カロリー、糖質、プリン体という四つをゼロにしたサントリー「オールフリー」だった。

「10年の発売から7年で、売り上げが3倍に伸びた、成長ブランドと言えます」(サントリー広報部)

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