非正規や在宅にそそがれる視線は厳しい(※写真はイメージ)
非正規や在宅にそそがれる視線は厳しい(※写真はイメージ)
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 仕事と子育ての両立は、どうしてこんなにつらいのか。そう感じながら、毎日必死で走り続けている人は少なくない。待機児童のニュースを聞くたびに、上司や同僚に気を使い、後ろ髪をひかれながら会社を後にするたびに、いつになったら楽になるの?と思ってしまう。小学生になっても、ティーンエイジャーになっても新たな「壁」があらわれると聞けば、なおさらだ。AERA 2017年9月18日号は「仕事と子育て」を大特集。

「仕事と子育ての両立」のしんどさを訴える声が減らない。職場で、家庭で、誰もがぎりぎりの状態でがんばらないと、「両立」はできないのか。何が両立を阻んでいるのか。

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 これまでしてきたのは正社員の話。だが、いまも出産で仕事を辞めざるを得ないという女性は少なくない。再就職する際は、派遣社員やパートタイムなど、非正規雇用というケースは多い。たとえ出産時は産休・育休を取得して復帰できても、配偶者の転勤などで退職せざるを得ないというケースもある。

 パートタイムで働く都内在住の女性(43)もそのひとり。現在は、長女(15)、次女(9)を育てながら、事務や経理の仕事をしている。

●夫の転勤で働けない

 転勤族の夫とともに国内・海外を転々とする日々。社会と少しでもつながっていたいので仕事はしたかったのだが、子どもたちと共に新しい土地に慣れるだけで精いっぱい。約10年は定職に就けなかった。

 長女が中学2年、次女が小学2年になった1年前、ようやく仕事を始めたが、家事と育児を一手に引き受けているためパートタイムが限界。しかも、仕事を始めてまもなく夫が転勤に。単身赴任を選択したので引っ越しは免れたが、正真正銘のワンオペ育児が始まってしまった。

「子どもが小学生、中学生になれば育児は楽になると思っていました。でも、金銭面の負担はどんどん大きくなりますし、PTAや習い事、塾の送迎、心のケア、進路、ママ友との関係……。子育ての大変さはまだまだ続くんですね」

 独立・起業し、自分のペースで仕事と育児をこなしている女性たちにも特有の悩みがあった。

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