「どうしてそこまで怒るの?」「そこまで言わなくてもいいのに」――。このところ、イライラする人や罵詈雑言を目にする機会が多いとは思いませんか? あそこでもここにもいる「感情決壊」する人々。なぜ私たちはかくも怒りに振りまわれるようになったのか。それにはちゃんと理由がありました。アエラ9月11日号では「炎上人(えんじょうびと)の感情決壊」を大特集。怒りの謎に迫ります。
政治家や野球選手、芸人──。かつては感情にまかせて怒ったこともあったけど、過去を静かに反省し、「怒り」から学んだことを達人たちに聞いた。今回は、タレントの青木さやかです。
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20年前、私はまさに修羅でしたね。ひがみや妬み、貧乏、努力できない不甲斐ない自分、世の中の理不尽さ、すべてに怒っていました。
それがそのまま仕事に活かされ、無名で美人でもない私が、なりたかったのになれなかった女子アナに噛みつくという芸風になりました。弱者が勝ち組に噛みつく。よくぞ言った!という一部の方の共感をいただいてテレビに出られたのかな。愛されたなんて思っていません。
でも今の私は、ほとんど怒らなくなりました。おいしいものを食べられて、住むところがあり、子どもと笑い合える。40代、怒り続けるモチベーションがない。かつての怒りポイントが1億だとすると今は2ぐらい。人間って変わるんですね。
●最近は“マザー・テレサ”
子どもを持ったことは大きいです。私は自分なりの正義感で怒っていた。でも、自分が正しいと思い込みすぎている親は怖いと思うようになって、生き直したくなったんです。離婚も大きいですね。かつての私には、喜怒哀楽すべてを「怒り」で表現してしまう不器用さがありました。言い訳すれば極度のシャイ。寂しいと素直に言えず、怒りが先に出る。すると相手は本心を理解する前に「まずは怒りをなんとかしなきゃ」と思ってしまう。もしかしたら別れた夫は、私のことを半分も理解できなかったかも。この場を借りてごめんなさいと言いたいです。