なぜ炎上CMはやまないのか(※写真はイメージ)
なぜ炎上CMはやまないのか(※写真はイメージ)
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 「どうしてそこまで怒るの?」「そこまで言わなくてもいいのに」――。このところ、イライラする人や罵詈雑言をはく人を目にする機会が多いとは思いませんか? あそこにもここにもいる「感情決壊」する人々。なぜ私たちはかくも怒りに振りまわれるようになったのか。それにはちゃんと理由がありました。アエラ9月11日号では「炎上人(えんじょうびと)の感情決壊」を大特集。怒りの謎に迫ります。続発する「炎上CM」のなぜに迫ります。

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「帰りに(子どもの誕生日の)ケーキお願い」

 ゴミ袋を両手に会社へ行く途中にそう妻に言われ、内心「家族思いの優しいパパ、時代なのかもしれない。でも、それって正しいのか」とつぶやく男性サラリーマン。帰り道に後輩社員と飲み、妻になじられ、「風呂入ってくる」と湯船につかる──。

 牛乳石鹸が父の日に公開したウェブムービー。だがツイッター上で「不快とかではなく全然理解ができない」「誰に何を共感させようとしているのか」といった批判が相次いだ。女性が居酒屋で「肉汁いっぱい」「コックゥ~ん」と卑猥にも聞こえるセリフを連呼するサントリーのウェブ動画や、タレントの壇蜜が「肉汁とろとろ」といったセリフを言う宮城県の観光PR動画もセクシュアルすぎると指摘され、予定より早く公開を終了した。

 なぜ、ウェブCMの炎上案件が相次ぐのか。コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんは「ソーシャルメディアの発達でマーケティングの目的が『共感を得ること』に変わってきたが、一方でネット上でたくさんクリック数を得るため普通ではないことをしたいという欲求も出てきている」と語る。アジャイルメディア・ネットワークCMOでブロガーの徳力基彦さんは、ウェブのCMとテレビCMの区別が昨年ごろからほぼなくなっているにもかかわらず、「ウェブではとがった表現が許されるという意識がまだ作り手側に残っている」とも分析する。

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