小室哲哉(こむろ・てつや)音楽プロデューサー、ミュージシャン。小室哲哉新ユニットPANDORA feat. Beverly「Be The One」9/3配信スタート(撮影/品田裕美)
小室哲哉(こむろ・てつや)音楽プロデューサー、ミュージシャン。小室哲哉新ユニットPANDORA feat. Beverly「Be The One」9/3配信スタート(撮影/品田裕美)
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 何やら聴き慣れぬ音色が近づいてくる。奏者の姿は見えない。正体は、新たな展開をみせているAI(人工知能)。人間と協調して演奏し、わずか数十秒で作曲もするとか。AERA 9月4日号ではAI時代の音楽を見通すアーティストや動きを大特集。

 将棋も囲碁もやられた。相手は“ハイテク黒船”AI(人工知能)だ。ネット上には作曲サービスも次々登場。敵か味方か。TM NETWORK 小室哲哉さんに話を聞いた。

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 AIがどういう曲を作るかは、大体見えます。例えば「マニアックなジャズを」という絞り込み型の作曲はどんどんできる。オーダーを受けて作曲するなら、人よりはるかに優れた曲を作るでしょう。

 例えば、万人受けするポップな曲で、分かりやすくて、みんながいいと思うものになる。スタジアムで全員がコーラスをやり、泣いたり震えたりするものを、とオーダーすると、クイーンやオアシスの曲、甲子園の応援のブラスバンドも覚え、結果こういうものになりましたと。そうすると、使うセンテンス、ワードにしても「ラブ」であったり、基本は万人が共通でイケるもの、となる。

 ただそうなると、生身の人間が全部そぎ落としたところでふと口ずさむ鼻歌のほうが心を揺らすかもしれない。アコースティックギター一本と人の歌声のほうが染み入る人もいる。そのような曲を「二者択一にしないでやってみてよ」と求めると、AIは相当悩む。データはあっても「相対的に選んだ曲」じゃあダメなので。

 音楽は、いかに人の心を揺らすか、です。その勝負も非常に曖昧さがある。数曲しか知らない人や感情豊かな人が勝つ可能性もある。マスの人の心をいっぺんに同じ方向に動かし、揺らせるかが一つの分岐点。できた人が音楽界の成功者になっているが、AIもなかなかそうはならないと思っています。

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