見た目から先入観で判断されることは多い。高校生の時、バイト落ちまくったんです。そりゃこんな見た目の高校生、コンビニで働いていませんもん。そこで韓国料理屋のホール係になったんですが、「お待たせしました、本格ビビンバです」って運んでいったら、「なんで黒人が出てくんだよ」って。「僕、日本人だよ」って言っても「うそつけ」って。
期待されることも多かったです。小学校で野球始めたのも「ハーフだからうまそう」っていうのだったし、めっちゃ音痴なんですが、歌番組に呼ばれたり。でも、自分と違うものに興味を持つ気持ち、まぁまぁわかるんです。煩わしいのは、初対面の人にいろいろ説明しなくちゃならないことくらいです。
むしろ見た目を生かし尽くしてきたっていうか。僕はこの見た目なんで、わざと社交的に振る舞っていたんです。そしたら本当に社交的になった。芸人になってからは、自己紹介しただけでウケる。確実に、ほかの芸人さんより努力してない。
そもそもハーフじゃなかったら芸人はやっていなかったかもしれない。ハーフの人って、スタイルが良くてモデルになるとか、運動神経が良くてスポーツ選手になるとか、いろんな国の言葉しゃべれるからビジネスで成功するとか、そういうのあるでしょ? ところが僕にはなんにもない。バイトの面接も受からないしどうするんだ、と思っていた時、高校の同級生にお笑い誘われて、ちょうどいいな、と。
外国人やハーフのタレントさんと一緒に仕事することが多いんですが、話、合わないんですよ。みなさん、ノリがやっぱり外国人なんですもん(笑)。(構成・ライター/羽根田真智)
※AERA 2017年8月14-21日号

