「おかあさんといっしょ」11代目うたのお兄さん、横山だいすけさんと 映画「メアリと魔女の花」 プロデューサー、西村義明さん特別対談が実現。子育て実用誌『AERA with Baby スペシャル保存版 早期教育、いつから始めますか?』からお届けします。
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ドイツの児童文学『飛ぶ教室』が大好きという一点で一気に意気投合。二人の対談が実現した。テーマは本。子どもを楽しませるプロが、愛してやまない絵本たちを語ります。
―好きな絵本を教えてください。
西村義明:『おしいれのぼうけん』は傑作だと思います。この面白さはいわく言い難い。押し入れは小さいころにベッドを作ったり、閉じ込められることもあったり、思い出がある場所だと思うんですよ。
横山だいすけ:秘密基地的なね。
西村:いまの子たちは押し入れや天袋がわからないかもしれないけど(笑)。この物語のクライマックスは前半にあると思っています。やんちゃな男の子と気の弱い男の子が押し入れに入れられて、下の段にいる気の弱い子が「ぼく、もうだめだよ」って言うと、やんちゃな子が上の段から「てをつなごう」って手を出すんです。そして二人で、ネズミのお化けから逃げる。
大人が見れば押し入れの中にいるだけなんですけど、子どもの想像力、押し入れの中でだけみせる優しさ、そして勇気。子どもの記憶に強く残る、とても優れた絵本なんです。長編映画にはならないけど、短編にはなるんじゃないかと思ったこともある。クロッキー調のような絵がまたよくて、想像力をかき立てられます。
横山:僕は、『ないた赤おに』が好きでした。赤鬼くんは人間と仲良くなりたいのに怖がられてしまうから、親友の青鬼くんが悪役を買って出てくれるんですよね。村の英雄として赤鬼くんはみんなと仲良くなれるんですけど、青鬼くんのところに行ったら姿はなくて、「ドコマデモキミノトモダチ」って手紙があって泣き崩れるんです。