日本人がなじんできた「お葬式のかたち」がいま激変している。従来型のお葬式ではなく、「家族葬」が広く受け入れられ、弔いの形は家から個へ――。葬儀費用の「見える化」と価格破壊は何を生むのか。AERA 8月7日号で、新しい葬式の姿と、大きく影響を受ける仏教寺院のいまを追った。
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家族葬が一般的になる前から、「身内」だけの葬式にこだわってきた宗教団体がある。公称会員数827万世帯を擁する創価学会だ。学会は25年以上、「友人葬」と呼ばれる独自の葬式に取り組んでいる。
一般的な仏教葬との最も大きな違いは、僧侶がいないこと。僧侶の代わりに、「導師」という古参の学会員が進行役を担い、遺族、親族、参列している学会員たちも一緒にお題目の「南無妙法蓮華経」を唱える。導師は創価学会の「儀典部」に所属。信仰歴が長く、教義に造詣(ぞうけい)が深く、葬儀方法を熟知しているベテランが多いという。友人葬は僧侶がいないため、お布施が必要なく、戒名もない。原則として香典も必要ないとされる。
●僧侶なし戒名なし
友人葬がスタートしたのは1991年。創価学会が宗門の日蓮正宗から「破門」された年だ。それ以前は、学会員の葬儀は日蓮正宗式にならい、僧侶が執り行っていた。
「宗門からの破門により、『後ろ向き』な改革の結果として生まれたのが、友人葬なのです」
創価学会に詳しいジャーナリストの山田直樹氏は言う。破門されたとはいえ、創価学会は、教義上は日蓮正宗を引きずっている。最も困ったのが、葬儀問題だった。宗門と決裂したことで、葬式では僧侶を呼ぶことができない。“苦肉の策”として生まれたのが、学会員自らが「聖職者」の代役を担う「友人葬」だったという。
創価学会広報室は友人葬についてこう回答した。
「(友人葬のスタートは)本格的には91年ですが、一部ではそれ以前にも行われていました。香典は、ご遺族の意思を尊重しています」
友人葬の公式ホームページにはこう記述されている。