星浩(ほし・ひろし)/1955年、福島県生まれ。朝日新聞政治部記者、ワシントン特派員、政治担当編集委員などを経て特別編集委員。2016年に同社退社後、TBSの「NEWS23」のキャスターに就任(撮影/今村拓馬)
星浩(ほし・ひろし)/1955年、福島県生まれ。朝日新聞政治部記者、ワシントン特派員、政治担当編集委員などを経て特別編集委員。2016年に同社退社後、TBSの「NEWS23」のキャスターに就任(撮影/今村拓馬)
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 委員会採決省略の強行採決、実在した「怪文書」……。「安倍一強」のもと、自民党はなぜここまで傲慢になってしまったのか。その源流を「政・官の関係」「派閥弱体化」「小選挙区制」の現場で考察し、いかにして現在の一強体制が作られていったかを明らかにする。AERA 2017年6月26日号では自民党を大特集。NEWS23のキャスター、星浩さんに安倍一強について話を伺った。

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 衆議院の小選挙区制も1996年から始めて21年、選挙は7回やりました。制度が定着する一方で、弊害も出ています。候補者選びで総裁、党首に権力が集まりすぎること。党内で自由な議論ができなくなることです。

 そろそろ手直しをする時期に来ているのではないか。選挙制度はなかなか変えにくいので、まず運用で変えるしかない。たとえば総裁・党首に権力が一極集中するのではなくて、党に賢人会議、アドバイザーグループをつくって、OB・OGや学者ら10人ぐらいで政策や選挙区の調整をしてもらう。将来性ある人には、自民党の強いところで立たせるとかあっていい。

 総裁、幹事長が全部仕切って、となると、一強単色という弊害のままです。郵政解散の小泉さんみたいに、強権的な人に権力を持たせると、刺客を送られて血を見る、怖いことになると目の当たりにしたのに。

 小選挙区制は怖いということを前提に、自民党が改革をやりきれるかどうか。もしかしたら改革をする余裕はなく、ある日ポキッと折れるまで続くのかもしれない。

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