安倍政権を批判すると、印象操作だと逆襲したり、文書が怪文書だ、出所を示せと言ってみたり。事実とか批判に対する謙虚な姿勢がものすごくなくなってきています。官邸からすると、ここで譲るとどんどん追い詰められるという恐怖感があるんだろうけど、それでは懐の深い政治はできません。
いまの自民党の根っこにあるのは、2009年に野党に転落したその恐怖症ですよ。だから徹底的に民進党批判もするし、メディアに強圧的に出る。政策にしても政局にしても恐怖心からものごとを進めるのは限界がある。野党になったら何もできない、与党になったらやりたい放題という政治状況や制度を変えないといけない。
親分がカネを配り、ポストを世話する、昔のような派閥は成り立ちません。でも自民党の中にタカやハト、保守とリベラル、右と左とか、主張や色合いの違うグループがもっとあっていい。党内にも一強政治はそろそろ限界だという雰囲気が生まれつつあります。
大宏池会構想は、外交や財政再建を大テーマに、リベラル系勢力の再結集への動きです。実際、党内に50人、60人のグループをつくって財政再建やリベラルな政策の勉強会をやっても、総裁の権力を恐れる必要はないとわかってきた。変化は起きています。
(構成/編集部・金子桂一)
※AERA 2017年6月26日号