「キャリア猫とノーマル猫を一緒に預かるのは、リスクを考えると難しい。それなら専用のシェルターを作ろうと、クラウドファンディングを募ったのです」(工藤さん)
工事費は300万円だったが無事に達成できた。キャリア猫も救いたいと思う人は多かったからだ。今、シェルターは、キャリア猫やまだ人なれしていない猫、一時不調の猫も落ち着いて過ごせる場になっている。
「ハンディを持った猫は殺処分率が高い。でも、命の重みは一緒。保健所も殺処分したいわけではありません。保護猫カフェを通じていろいろ伝え、安心して暮らせる猫をもっと増やしたいです」(同)
では、実際にキャリア猫との暮らしはどうなのか。東京都台東区の藻山ふみさんは、猫エイズキャリアの2匹と暮らす。先に7歳だったモフ夫君を譲り受け、その後、同じキャリアなら一緒に暮らせると4歳の文四郎君を受け入れた。
「やっぱり最初はちょっと怖かったです。でも、暮らしてみると、普通の猫と変わりません。モフ夫はおっとりでやさしく、文四郎は甘えっ子でかわいい」
ただ、日頃から健康には注意している。定期健診を受け、少しでも体調が悪そうなときは、すぐに動物病院に連れて行く。
「今は健康な猫でも、年をとれば、病気が心配になります。家族として大切に思う気持ちは、どの猫でも同じなんじゃないでしょうか」
(ライター・角田奈穂子)
※AERA 2017年6月19日