2030年。あなたの子どもは何歳だろうか。ちょうどこの頃、社会の中核を担うのは今の中高生だ。AI(人工知能)の進化で仕事も働き方も急速に変わり始めた。変化の加速度を考えると、学校選びの基準もこれまでと大きく違ってくる。もう「教育改革」など待っていては、わが子の成長に間に合わない。AERA 2017年6月5日号では、「AI時代に強い中高一貫・高校選び」を大特集。アエラが注目する中高一貫校・高校の中から、早稲田大学本庄高等学院を紹介する。
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校舎はいったいどこ? 不安になりつつ、丘を登っていくと、
「ホーホケキョ」
ウグイスの声が聞こえてきた。
埼玉県本庄市の浅見丘陵に広がる早稲田大学本庄高等学院のキャンパスはなんと86万平方メートル。東京ディズニーランドの1.6倍にも及ぶ。敷地のほぼ全域が縄文時代からの遺跡で、古墳もある。同校の教育はこの自然豊かな環境と、大学付属で受験がないという特徴を最大限生かしたものだ。
「これがヌマエビの赤ちゃん。こっちはシマドジョウかな」
●国際専門誌に論文掲載
放課後、近くを流れる元小山川では、長靴つきのつなぎに身を包んだ同校の女子生徒9人が、網の中を夢中でのぞき込んでいた。彼女たちは、同校のスーパーサイエンスクラブ「河川研究班」通称「かわけん」のメンバーで、定期的に水質調査と生態系の研究を続けている。「かわけん」は地域の環境保全プロジェクトにも多く関わり、昨年度は同県の環境大賞優秀賞を受賞した。
同校は2002年度から昨年度まで3期連続してスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されてきた。アエラでは今回、同校のサイエンス教育の蓄積に注目した。授業はもちろんだが、目を引くのはサイエンスクラブの研究だ。昨年は、女子生徒のグループがまとめた「プラントオパール」と呼ばれる植物化石についての英語論文が、査読付きの国際的植物専門誌「Flora」に掲載された。その取り組みの効果について指導した半田亨教諭は言う。