「企業がこうした需要をとらえてビジネスとして参入する場合、もともと地域に物流ネットワークを持っていることは強み。そういう企業が需要に対してタイムリーかつ的確に対応することができる」
●販売店を地域の拠点に
「地域のためにこんなことまでやっているんだと感じてもらえるように、新聞販売店をブランディングしたいんです」
こう意気込みを語るのは、新聞販売店へのコンサル業務を手掛けるMIKAWAYA21(東京都港区)社長の青木慶哉さん(40)。30分500円で困りごとを解決するサービス「まごころサポート」を全国400店ほどで展開している。新聞販売店は折り込み広告を自前で刷ることができるので、発信力は抜群。加えて「◯◯新聞を配っている」という信用力もあるので、家の中に入る必要のある作業を頼む心理的なハードルが低い。
「全国の加盟店が平均月20件ほどのお手伝いをしていますから、1カ月で8千~1万件くらいの困りごとを解決していることになります。新聞販売店が高齢化社会を支える仕組みをつくっていきたいですね」
もちろん30分500円では、売り上げが伸びるといっても微々たるもの。ただ、加盟店は困りごとの解決から一歩進んで、エアコンや換気扇の有料クリーニングサービスまでできる体制を整えることで、売り上げを飛躍的に伸ばすことができているという。
「新聞販売店の経営は本当に苦しい。地域貢献に加えて、『ありがとう』と言われながら、新しい売り上げをつくっていくというのがテーマですね」
4月には、日本初の高齢者向けIoTデバイスを発売した。インターネットに不慣れな高齢者でも、ボタンを押すだけで簡単に外部と通信ができる「MAGO(まご)ボタン」。天気予報や災害情報などを受信するほか、家族に安否確認のためのメッセージを送ったり、コンシェルジュと通話して困りごとの相談をしたりといったことがボタンを押すだけで可能になる。
まずは、新聞販売店や新聞社を中心に、介護事業者や医療法人など地域密着型の事業者にMAGOボタンと事業化のノウハウをパッケージにして販売。事業者には、高齢者の困りごとの解決の拠点になることで、地域での存在感を高め、既存の事業を強化できるメリットがある。