「衣食住も大事ですが、それよりも大事なのがネットワーク。移住者がスムーズに移り住めるような仕掛けが必要です」
湯梨浜町では住宅の新築・購入に上限200万円の費用を助成。運転免許の取得に上限15万円を助成するなど様々な移住支援制度を設けている。独自の子育て支援も充実し、合計特殊出生率は2.26と県内トップだ。高齢者と若い世代双方にとって魅力的な町にすべく、今後は福祉、移住、観光などの総合相談センターも設置する計画だ。ただし、目下の課題は雇用だ。
「都会からの移住者には、職の要望がある。アクティブなシニアからは年金とは別に、お小遣い程度は稼ぎたいといった声が多い」(湯梨浜町みらい創造室の岩崎正一郎室長)
そのため町としても、繁忙期の農家の手伝いや旅館業務など小さな仕事を紹介できる体制づくりを急ぐ。「どーんとため込んだお金で悠々自適」よりも、小さな仕事で地域に貢献しながら、地元の人とつながっていく。そこに第二の人生としての楽しみや喜びを見いだせるかどうか。都会からの移住は、そこを自分の心に問うてみることから始まる。(編集部・石臥薫子、澤田晃宏、福井洋平)
※AERA 2017年5月15日号