「住宅ローンの返済と子どもの教育費がかかっていたので貯金はほとんどできませんでした。退職後は再就職しないと決めていたので、このままではまずいと思い、退職する2年前から退職後の1年間の合計3年間、家計簿をつけて収入と支出の見える化をしてみました」
まず収入については、退職金がいくらもらえるのか総務担当に聞き、毎月の年金収入は「ねんきん定期便」で確認した。
次に、一家の支出を把握するために、パソコンの家計簿ソフトを購入し、夫婦それぞれが使ったお金を入力する方法で家計簿をつけた。その結果、退職前は1カ月約34万円も使っていたことがわかった。そして、メタボな項目にメスを入れて、退職後は月約22万円、12万円のダウンサイジングに成功した。おおまかな月間生活費の出し方は上の図の通り。居住費がかからないことが前提だが、老後も賃貸だとしても、家賃が高い都会にこだわらなければ生活は成り立つ。
●デパ地下総菜は要注意
12万円のうち、最も効果が大きかったのは、「食費」と「交通費・ガソリン代」「ケータイ料金」「洋服・アクセサリー代」「趣味・交際費」の5項目。共通して“ムダとミエ”を省くように心がけたという。
「私は郊外で暮らしているので車は必需品だと思っていましたが、維持費が高いので、軽自動車に買い替えました。これで月約1万4千円の節約につながりました。また、ワイシャツやスーツも着なくなりましたので約3万7千円の減。ケータイ代もプランを見直したので約1万円減らすことができました」
ここまでは夫ひとりでできるが、夫婦での協調が欠かせないのは「食費」と「趣味・交際費」。
「食費」は夫婦二人分なら「食事を3食作るのは面倒」と、ついデパ地下のお総菜や出前、外食などで済ませたくなる。
世の妻の側からすると、いままで留守にしていた夫の食事を作る手間が増えて面倒くさい。それがもとで夫婦間に亀裂が入ることもあるので要注意だ。